隣との境界の塀は誰が作り、費用は誰が払うのか|民法225条〜229条の囲障の規定
隣家との境界に新しくフェンスを立てたい、古いブロック塀を建て替えたいというとき、費用をどう分けるかは気になるところです。民法には「囲障(いしょう)」として、境界の塀についての規定があります。ただし、この規定には前提条件があり、どんな境界にもそのまま当てはまるわけではありません。条文を引用して整理しています。
最終更新日:2026-10-12
本ページの見方
- 引用している条文は、e-Gov法令検索で公開されている現行の条文をそのまま転記したものです。読みやすさを考慮して省略した箇所は「(中略)」と表記しています。
- 条文に定められている事項と、個別の敷地・計画についての判断は異なります。当サイトは個別の案件について適法・違法の判定を行っていません。
- 自治体や道路管理者ごとに異なる手続きの様式・手数料・処理期間は、本ページには記載していません(条文に定められている数値のみを扱っています)。
根拠となる条文
二棟の建物がその所有者を異にし、かつ、その間に空地があるときは、各所有者は、他の所有者と共同の費用で、その境界に囲障を設けることができる。2 当事者間に協議が調わないときは、前項の囲障は、板塀又は竹垣その他これらに類する材料のものであって、かつ、高さ二メートルのものでなければならない。出典:e-Gov法令検索(民法)
前条の囲障の設置及び保存の費用は、相隣者が等しい割合で負担する。出典:e-Gov法令検索(民法)
相隣者の一人は、第二百二十五条第二項に規定する材料より良好なものを用い、又は同項に規定する高さを増して囲障を設けることができる。ただし、これによって生ずる費用の増加額を負担しなければならない。出典:e-Gov法令検索(民法)
前三条の規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う。出典:e-Gov法令検索(民法)
境界線上に設けた境界標、囲障、障壁、溝及び堀は、相隣者の共有に属するものと推定する。出典:e-Gov法令検索(民法)
第二百二十三条 土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用で、境界標を設けることができる。第二百二十四条 境界標の設置及び保存の費用は、相隣者が等しい割合で負担する。ただし、測量の費用は、その土地の広狭に応じて分担する。出典:e-Gov法令検索(民法)
境界の塀・境界標に関する民法の規定
出典:民法 第223条〜第229条(e-Gov法令検索)。「内容」欄は条文の文言を要約したものです。
| 条文 | 対象 | 定めていること |
|---|---|---|
| 第223条 | 境界標 | 隣地の所有者と共同の費用で、境界標を設けることができる |
| 第224条 | 境界標の費用 | 設置・保存の費用は等しい割合で負担。ただし測量の費用は土地の広狭に応じて分担 |
| 第225条1項 | 囲障の設置 | 二棟の建物の所有者が異なり、その間に空地があるとき、共同の費用で境界に囲障を設けることができる |
| 第225条2項 | 協議が調わないとき | 板塀又は竹垣その他これらに類する材料で、高さ2メートルのもの |
| 第226条 | 囲障の費用 | 設置・保存の費用は相隣者が等しい割合で負担 |
| 第227条 | より良い材料・高さ | 第225条2項より良好な材料や高さにすることはできるが、増加額は設けた人が負担 |
| 第228条 | 慣習 | 第225条〜第227条と異なる慣習があるときは、その慣習に従う |
| 第229条 | 共有の推定 | 境界線上に設けた境界標・囲障・障壁・溝・堀は、相隣者の共有に属するものと推定 |
囲障の規定には「二棟の建物」と「空地」という前提がある
第225条第1項は「二棟の建物がその所有者を異にし、かつ、その間に空地があるとき」という条件から始まっています。隣り合う2つの土地にそれぞれ別の所有者の建物があり、その間にすき間(空地)がある場合を想定した規定です。条文の文言どおりに読むと、片方が建物のない土地である場合は、この前提とは異なる状況になります。お住まいの境界がこの前提に当たるかどうかが、まず確認する点です。
協議がまとまらないときの仕様は「板塀・竹垣類で高さ2メートル」
第225条第2項は、当事者間で協議が調わないときの囲障を「板塀又は竹垣その他これらに類する材料のものであって、かつ、高さ二メートルのもの」と定めています。費用は第226条により等しい割合での負担です。一方、第227条により、どちらか一方がこれより良い材料(たとえばアルミフェンスやブロック塀)にしたい、より高くしたいという場合は、それによって増える費用はその人が負担することになります。つまり条文上の「折半」は、協議が調わない場合の基準となる仕様についての話であり、希望する仕様の全額を折半できるという書き方ではありません。
基準となる仕様
板塀又は竹垣その他これらに類する材料・高さ2メートル(第225条2項)。費用は等しい割合(第226条)。
それより良い仕様
設けることはできるが、増加額は設けた側が負担(第227条)。
地域の慣習
これらと異なる慣習があるときは慣習に従う(第228条)。
境界線上に立てた塀は「共有」と推定される
第229条は、境界線上に設けた境界標・囲障・障壁・溝・堀を「相隣者の共有に属するものと推定する」としています。境界線の真上に塀を立てると、条文上は両家の共有と推定されるということです。共有の塀は、将来の補修や撤去にも相手の関与が必要になることがあります。一方、自分の敷地の内側に寄せて塀を設ける場合は、条文が対象とする「境界線上」には当たりません。どちらの位置に設けるかで、後々の扱いが変わり得る点は計画段階で押さえておくべき点です。なお「推定」であるため、別の取り決めなどがあれば異なる扱いになり得ます。
本ページで判定できない事項
お住まいの地域に第228条でいう「異なる慣習」があるかどうか、既存の塀がどちらの所有なのか、話し合いがまとまらない場合にどう解決するかは、個別の事情によって判断が分かれるため、当サイトでは判定していません。境界の位置そのものがはっきりしない場合は、土地家屋調査士などの専門家に相談し、工事の前に境界を確認することが前提になります。
境界に塀・フェンスを設ける前に確認すべき事項
- 1境界標(境界杭・プレートなど)が現地にあるかを確認する
- 2塀を境界線上に立てるのか、自分の敷地の内側に立てるのかを決める
- 3隣家と費用を分ける場合は、仕様・高さ・負担割合を書面で残す
- 4既存の塀を撤去する場合、その塀が誰の所有なのか(境界線上か、どちらかの敷地内か)を確認する
- 5見積書に、塀の位置(境界からの距離)が図面で示されているかを見る
- 6ブロック塀にする場合は、構造の基準(ブロック塀の基準のページ参照)も合わせて確認する
関連する工事の解説
よくある質問
Q隣との境界のフェンス代は折半にできますか。▼
Q境界線の上にある塀は誰のものですか。▼
Q境界杭を新しく入れる費用は誰が負担しますか。▼
出典
条文は2026-10-12時点でe-Gov法令検索に掲載されていた内容を確認して転記しています。法令は改正されることがあるため、実際の手続きの前には最新の条文と、所管する窓口の案内をご確認ください。